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●「狼少年」にならないか●
三宅島周辺の地震報道が、ほとんど昼夜を問わず毎日続いている。これがきまって震度三〜五で、陸上、海上を問わず、何時何分にどこでありましたというテレビの臨時ニュースのテロップが流れる。しかも津波被害がないなど、いやに丁寧で詳しいが、それだけでは一体これからどうなるのか不満だけが残る。
それに狼少年ではないが、こう連日地震のニュースが流れ、被害がないとなると、つい、いつもの地震だ、とかえって油断してしまって、肝心の、本当の大地震がきたとき、避難が間に合わず危ないのではないかとさえ思われる。
やはり、前後の地震が克明につかめれば、だんだん地震のメカニズムや実態が明らかにできるということで、予算を増やし、地震計を増設した筈である。誰もが記録が増えることで、どういうことがわかり、地震の今後が、どう予想されるのかが知りたくなるのは、当然であろう。最近、噴火予知連の記者会見で、中間報告が行われたのは良かった。少なくとも、ニュース速報で、マニュアル化された報道だけを自動的に報道して、それで済ましていたのが、これで一応解消されたからである。
昔から、人の住まないところには地震がなかった。それは、地震が起こらなかったのではなく、影響がなかったから記録もされなかっただけのことである。
といって、毎回地震計の結果の速報だけで地震の心配がなくなるわけではないし、災害の危険が解消されるものでもない。にもかかわらず、そのつど地震学者を集めて避難を勧告・強制しようというのも、いかがなものであろう。目下、めったにない連続地震の起こっている間に、正しい対応を一歩進めておく好機だと考えるが、いかがなものであろう
●予測は現段階では不可能●
そこであらためて取り上げたいのは、災害の恐れがある、危険だという地区で、判っている情報があれば、これを公開すべきだという意見である。是非この機会に検討し、この実現を考えたい。そのうえで、火山、活断層、洪水、津波についての危険地域には、居住を禁止するという措置を講ずべきである。そういうと、日本中住むところがないと言われるが、情報を知った上で、それぞれの自己責任で住むことは拘束しない。そうすれば、地震情報も、自治体で避難勧告はしても、基本的には、各自が避難や対策に責任を負うことになる。
こういう、公的・私的対応をはっきり分けておけば、地震災害情報の伝え方も、自ずから変わってくる。予知についての努力は、これからも続けてもらいたいが、よく判らないうちは、少なくとも地震の予知についての報道は、やめにしてもらいたい。この点に関して、『建築雑誌』(日本建築学会発行)の1979年11月号で、竹内均先生(元東大地球物理学教授)が、地震予知について「いつ、どこで、どの規模の地震がおこるか、その予測は現段階で不可能である」と、予知はまだできないということを述べられており、予知の予算措置は、国費の無駄ではないか、とさえ言われている。
●すぐできることは多い●
竹内先生は世の中は、危機管理ばやりだが、それより、もっと真剣に震災復旧という事後の対策こそ考えねばならないと述べられていたのが印象的であった。やっと自衛隊が、災害救援について検討するという最近のニュースは、大いに歓迎すべきものと思う。現在、地震予知の国家予算は年間180億円で、そのうえ任命された専門家は、常時携帯電話を持って、緊急に集合し、その対策を検討することになっているが、もう一歩踏み込んで考えなければならない状況になってきた。
かつて大島にも、緊急避難措置で全島民が東京に船舶で移住したことがある。長崎の普賢岳でも同じく避難した。北海道有珠山も同様で、さらに今、三宅島が同じ状況にある。学者は、おおむね危険の警告はできるが、安全宣言には踏み切れない傾向が強い。このため大島では、当時の鈴木知事が年末ということで政治決断で、帰りたい人は帰って正月を迎えることができた。
神戸地震のケースを見ると、「地震は三十秒。火災は数日にも及んで被害が拡大する」という、地震と火災の災害の経過が明らかになった。救援は断水下での消防や、どこに避難すれば安全か、そのための避難緑地帯の規模と場所の確保、基準を厳しくした新耐震の有効性から、古いビルの耐震補強まで、やるべきことですぐできることはたくさんある。
幸い観測は、衛星、レーザー、ヘリコプターなどで、建設省の緊急対応も的確さを増している。関連の省庁や、自治体、専門グループが一緒に考える時がきた。地震計が増えただけでも、ニュースが増えても安心はできない。報道を通じた形式主義から早く脱皮し、環境づくりに責任を負う地域の建築士会などとも相談し、身近なところから、安全防災環境づくりの行動に移るべきである。
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