インド洋大津波復興にノウハウ生かせ

 自然の脅威にはしばしば、想像を絶する激動がある。天変地異に予測は困難であるが、日本は、多く天災を克服して今日がある。
 この度のスマトラ沖での地震(震度7.8)と巨大津波は世界の楽園だったインド洋沖の群島や沿岸を襲い、リゾートを一挙にくつがえす大惨事となったことがマスコミによって伝えられている。
世界各国からの観光客および地元の人々を含めてすでに死者10万を超え建築、道路などを破壊、水没させて、見る影もない有様で、この災害に世界に食糧、医療、災害地の復旧を訴えている。
 我が国としては救援にイラクからの整備艦船の寄港が伝えられたが、このすばらしい適切な処置はよかった。こうした災害直後の対応だけでなく、これからの支援をどうするか、いつまでも臨時の救援にとどまらず、今後の復興について考えていくことが求められてくるであろう。
 各種の災害問題に、自然災害多発国日本として、情報収集、共有、ネットワーク化はもちろん、世界の災害にその都度調査団を派遣し現地の状況確認、救助、復旧の方策などを調べてその資料も整っている。このように日本には官民含めて多くの研究機関による、すぐれた研究者の実績があり、これらを有効に役立てることは当然である。それだけにわが国は調査だけで本格的復旧支援につなげて欲しいと言われることも多かった。
 海洋災害支援で思い出されるのは、1975年の沖縄国際海洋博の日本政府館『アクアポリス』である。この100m四方の施設は造船と建築が一体化したパビリオンで浮体構造という世界で始めて建造された施設であった。海洋に浮かぶことで、地震や津波の影響をうけない免震構造が特徴であった。この新しい施設がつくられて、多くの人々がその内部の構造や海洋に関する設備を見学されたことだろう。
 もし、こうした海洋施設をインド洋に災害地へ曳航し、各地の救援活動にあてることができれば、強力な活動が期待できると思われる。施設には船着き場があり、小型船をもち、デッキには広いヘリポートが用意されていて、災害地への輸送にあてられる。かつ罹災者の収容には広いラウンジがあり、設備は給水、造水から、ゴミ・汚水処理、さらに発電機まで備え、総合的な救援装備をもっている。これは正に海に浮かぶ救援基地で、情報設備とともに海上センターの役割をもっていた。このような海に浮かぶ施設は造船産業・技術が発達した日本が大きな役割を果す分野である。
 しかし、折角開発された沖縄アクアポリスも万博後は跡利用があまり顧みられず、海洋研究や技術開発も行われず、安全防災上の関連産業への配慮もなく、解体されてしまい、最先端のアクアポリスの建造に携わった人々は嘆いたのである。
 本来、海洋上の本格的施設として、海底地震や津波、黒潮(海流)の調査、海底資源のマンガン、油田などの探査から海洋の海流発電や潮位差、水深による温度発電まで研究分野は極めてひろく、海洋時代になくてはならない施設である。そしてその最大の特徴の一つは、安全であり、災害支援施設、洋上医療施設として、どこにでも、駆け付け活躍できることにある。災害時のセンターとなる海洋施設は実は、日本の得意とする分野で、各種の技術力が高度に発達し、優秀な技術者をかかえ、かつ総合的産業としての統括力と蓄積なしに実現は難しい。
 海岸リゾートの被害を知る程、沖縄海洋博でのアクアポリスでの成果や日本の海洋技術が活かせたらと思わずにはいられない。
 災害は、直後の支援も重要であるが、事後の対策も不可欠ですでに、チフスやコレラなど二次災害としての伝染病の心配も懸念されている。もともとモルジブ諸島は地球温暖化で海水面の上昇による水没の心配が指摘されていた。同じような心配は東京江東地区の海抜0m地帯にもあり、地震と津波に対する対策としては、より本格的対応の必要な海岸も少なくない。津波(tsunami)の名称には日本語が国際的に用いられるというほど我が国の学者による研究がひろく世界に認められている。

 より安全で豊かな美しい海洋の実現にわが国の海洋技術の貢献が待たれる。最後に亡くなられた方々への冥福を祈るとともに、早期の復興を心よりお祈りする。


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